2006年、家電量販店の携帯電話コーナーには、NTTドコモ、KDDI、ボーダフォン、ウィルコムに加え、新しい3つの事業者ブースがお目見えします。 ソフトバンクグループ、イー・アクセスグループ、そしてアイピーモバイルの3社です。通信業界アナリストの島田雄貴が、モバイルバブルの行方を占います。
最後のITフロンティア
「ライブドア、公衆無線LAN参入を発表」「イー・アクセスが無線通信参入へ」「ソフトバンク、携帯電話サービス来秋開始目指す」。
来る日も来る日も、新聞紙上にはモバイル関連のニュースが踊る。様々な企業が、新サービスを次々と繰り出しながら、最後のITフロンティア「移動体通信サービス」に殺到しているのだ。モバイル通信の世界は、まさに「バブル」の様相を呈している。
生活は具体的にどう変わるのか
半面、ニュースの中身は、ドコモやイー・アクセス、アイピーモバイルなど業界話ばかり。通信インフラが劇的に変わることはなんとなく理解できても、それによって我々の生活は具体的にどう変わるのかが伝わってこない。今、モバイルの世界でいったい何が起こっているのか。
7700万人はiモードやEZwebなどを契約
9月末時点で携帯電話の利用者は約8900万人。赤ん坊からお年寄りまで3人中2人が携帯電話を握り、うち7700万人はiモードやEZwebなどを契約、出先でメールやWebを使っている。
「1億総モバイラー」時代
一方、パソコンが営業や出張の欠かせぬツールになって久しい。ビジネスマンが街角でノートパソコンを広げてメールを読み書きしていても、気に留める人はもういない。ごく普通の日常風景だ。日本は「1億総モバイラー」時代に突入したといっていいだろう。
「公衆無線LAN」「次世代携帯電話」「デジタル放送」
そのモバイルの世界に今、3つの大きな“波”が押し寄せようとしている。「公衆無線LAN」「次世代携帯電話」「デジタル放送」だ。今年後半から来年にかけ、モバイル環境がさらに進化しそうな気配なのだ。この3つのキーワードは、確実に将来の携帯電話やパソコンの姿、さらに使い方を変えていく。その片鱗がおぼろげながら見えてきた。
イー・アクセスなどがインフラ整備
今、イー・アクセスなど通信事業者は、莫大な資金を投下しながら、競うようにモバイルインフラを整備している。2006年には、我々を取り巻くモバイル環境は大きく変わる。
ノートパソコンを外出時に持ち歩く
あなたが「ネットに満足につながらないパソコンなど無用の長物」と考えているなら、ノートパソコンを外出時に持ち歩くなど、ナンセンスの極みだろう。が、2006年になれば、考え方が変わるかもしれない。
山手線内の約8割の範囲
2006年、東京・山手線内の約8割の範囲で、自宅の常時接続回線と同じインターネット接続環境が手にはいるようになる。少し歩けば、公衆無線LAN経由でノートパソコンをインターネットにつなげられる。公衆無線LANのサービスエリア拡大は東京に限らない。公衆無線LAN事業者は競うようにアクセスポイントを全国に打ち続けている。
ソフトバンクも
2006年、家電量販店の携帯電話コーナーには、NTTドコモ、KDDI、ボーダフォン、ウィルコムに加え、新しい3つの事業者ブースがお目見えする。ソフトバンクグループ、イー・アクセスグループ、そしてアイピーモバイルの3社だ。
新規参入組は定額で使えるメガクラスのデータ通信メニューを提供。公衆無線LANと異なり、アクセスポイントを探すことなく、いつでもどこでもケーブルをノートパソコンにつなげば、メールもWebもOK。おまけに何時間使っても定額で済む。
携帯電話でワンセグ放送
2006年、ノートパソコンは出先でもクリアーに視聴できるテレビ受信機にもなる。地上デジタルテレビ放送に、携帯機器向けの「ワンセグ」放送が仲間入りするのだ。通勤中など時間をもてあますシーンでも、ノートパソコンを広げれば、テレビ番組を楽しめるようになる。ワンセグ放送は携帯電話でも楽しめる。
いよいよ、モバイラーは自宅と同等のインターネット環境をポケットに入れて持ち歩ける時代がやってくる。こうなるとコンテンツや端末の姿も変わってくる。このインフラを使うのは、今の姿のノートパソコンや携帯電話ではないかもしれない。
ところで、この新しい通信インフラはあなたにとっても必要なものなのだろうか。1つひとつ検証していこう。
公衆無線LAN編
今年6月、ライブドアが最大54Mbpsの公衆無線LANサービスへの参入を表明。注目を集めることがなかった公衆無線LANは一躍有力モバイルインフラのひとつに躍り出た。
従来の公衆無線LANは、一部を除き、駅や店舗に設置したアクセスポイント(AP)の周囲30~100mの範囲内で使う「スポット」サービス。
一方、ライブドアが打ち出した「livedoor Wireless」はAPを電柱に設置、約2200個所のAPで東京・山手線内の約80%を面でカバーするというこれまでにないものだった。料金も月額525円と競合事業者の半額~1/4。
ポータルサイト「livedoor」のコンテンツだけなら無料で使える。11月1日から商用サービスを始めるが、既に5000名近くの有料会員を集めている。
無線LANで「面」をカバーするライブドアの構想に大きな衝撃を受けた競合事業者は1斉に動き始めた。7月12日、NTTグループはAPの共同運用を発表。NTTグループ内で公衆無線LANを手がけているのはNTT東日本・西日本、NTTドコモ、NTTBP、NTTコミュニケーションズ。
このうちNTTコミュニケーションズ以外の事業者のAP設置、運用、保守をNTTBPに集約して設備投資コストを抑えようという考えだ。ただし、サービス自体の統合の予定はないという。
一方、約3年以上も11Mbpsの試験サービス「Yahoo! BBモバイル」を続けてきたソフトバンクBBは8月29日、商用化を発表。日本テレコムが既に商用サービスとして展開していた「モバイルポイント」と統合し、名称を「BBモバイルポイント」と変更した。
事業主体を日本テレコムに変更し、今後はYahoo! BB以外のプロバイダーに対し公衆無線LANサービスの卸売り事業を展開する。
走行中に無線LAN接続が可能な電車も登場した。8月24日に開業した秋葉原とつくばを結ぶ「つくばエクスプレス」だ。現在は一部の区間、一部の編成に限られているが、今年度内には全区間、全編成で利用可能にする。「技術的には新幹線も無線LAN環境にできる」(NTTBP眞鍋利裕サービス開発部長)という。
PHS事業を展開していたYOZANは、保有するPHS基地局を最大70Mbpsの次世代無線技術である「WiMAX」のインフラに置き換え、今年12月にも無線インターネット接続サービスを開始する予定。
当初は自宅内にWiMAXの受信機を設置し、受信機が無線LANに変換して宅内のパソコンで利用するサービスと、電柱に設置したWiMAX/Wi-Fi変換器を使った公衆無線LANサービスを展開する。2006年夏にはWiMAXを使った公衆無線サービスに乗り出すという。
「2.4GHz帯」の夢と現実
無線LANは2.4GHz帯の周波数帯を使っている。この帯域は産業、科学、医療用の機器に開放されている。通常、電波を出す機器を使うには免許が必要だが、無線LANの使っている帯域は、出力さえ小さければ(10mW以下)、誰もが自由に機器を作り、サービスを提供できる。
さらに、無線LANに使われているIEEE 802.11b/gは世界標準規格。「うまく先行することができれば、無線LAN市場はサービスにしろハードにしろ、日本発世界というこれまでにない流れを起こせるのではないか」(NTTコミュニケーションズのユビキタスサービス部企画グループマーケティングチームの加納貴司主査)。
広く知恵を集め、新機軸の端末やサービスを生み出し、世界に提案。公衆無線LANはこんな可能性も秘めた通信インフラというわけだ。
公衆無線LANが今後普及するにあたっての最大の課題は、収益モデルが描けていないことだ。現時点で公衆無線LANを使うのは、ノートパソコンやPDAを持ち歩いている人たち。が、その数は決して多くない。
イー・アクセスのライバルであるPHS事業者ウィルコムのデータ通信カード「AIR-EDGE」のユーザー数、100数10万人程度ではないか…と見積もる事業者が多い。今後、公衆無線LAN事業者がエリア拡大に突き進んでも、結局は小さなパイを奪い合うだけということになりかねない。
公衆無線LAN事業者が市場拡大に期待をかけるのは「無線LANを使う新しいハードウエア」の登場。ノートPCやPDAではこれ以上のユーザー層拡大を望めないのだ。
ノートパソコンは、無線LAN子機内蔵が当たり前となってはいるが、公衆無線LANサービスのエリア拡大によって、持ち歩くユーザーが爆発的に増えたとは言い難い。
PDAは公衆無線LANを使うには最適な端末だが、市場は公衆無線LANサービスが始まった3年前より、縮小。専門のPDAコーナーを構えるビックカメラ新宿店の森田悠記子氏も「ニーズはあるが電子辞書や小型ノートに押されている。通信にこだわる人も多くない。ソニーの『Clie』がPalm勢を駆逐し、撤退した影響は大きい」と市場を分析する。
そこで期待されるのが、パソコンでもPDAでもない端末だ。筆頭格は小型ゲーム機。ソニー・コンピュータエンタテインメントの「PSP」、任天堂の「NINTENDO DS」はいずれも無線LAN子機を内蔵している。
PSPはインターネットを介して対戦するネットワーク対戦ゲームが登場、さらに音楽配信事業者の中にはPSPに対して直接、音楽を配信するところもでてきた。
10月13日には新しいファームウエアを公開。「ソフトウエア次第で何でもできる」(ソニー・コンピュータエンタテインメント)という通り、10月1日に新機種を発売したロケーションフリーテレビのクライアントソフトを搭載させた。
既存の携帯電話と無線LAN機能の融合も進みそう。NTTドコモが6月に発売した「M1000」(モトローラ製)は、無線LAN機能を内蔵した携帯電話。主に企業内での利用を想定しており、注目を集めている。
デジタルカメラに無線LAN機能を連携させる動きもある。米コダックが米国で9月に発売したデジカメ「EASY SHARE-ONE」はSDIO型のIEEE802.11b対応の無線LANカードを装着可能。
撮影した画像を、同社が用意するオンラインストレージサービスにアップロードできる。デジカメ市場が頭打ちになっている日本でも無線LAN機能に注目するメーカーが登場する可能性は高い。
イー・アクセスのADSL解約
一方、公衆無線LANに注目が集まることで、過剰な期待を抱くユーザーも増えている。ライブドアには「近くの電柱にAPが設置されれば、(イー・アクセスやNTTなどの)ADSLを解約したいと思います」という声が届くという。これは誤解だ。APの目の前に部屋があるなら話は別だが、宅内まで電波は届かない。
SkypeのようなIP携帯電話機が登場すれば、電話がかけ放題。こんな期待もあるが、これも誤解。Skype専用端末の開発が進んでいるが、どこでも発着信できる携帯電話の使い勝手には遠く及ばないはずだ。
面展開を打ち出すライブドアも「データ通信が前提。APの電波をキャッチできなかった際に1~2分歩くと見つかる、それが我々が考える面展開」(ライブドアネットワーク事業本部の板井清司氏)
としており、IP電話のインフラにするつもりはないという。
技術的には100Mbps以上に対応したIEEE802.11nも登場し、公衆無線LANが魅力的なスピードになるのは確実。それでも、ADSLや携帯電話を駆逐するインフラになることはなさそう。あくまで共存する道を模索するはずだ。
モバイルインターネットサービス(MIS)は2002年4月1日からIEEE802.11bを使った公衆無線LANサービス「Genuine」をいち早く始めた企業。
電柱にアクセスポイントを設置するなど、ライブドアの「livedoor Wireless」とも共通点が多い。ただし、エリア展開計画に狂いが生じ、ユーザー数も増えなかったことから、同年12月にサービスを終了した
目1杯応援しているし、うまくいくと思う。堀江さんが飽きなければだけど(笑)。ポータルを持つライブドアと、インフラに専念しようとしたモバイルインターネットサービス(MIS)ではビジネスモデルが多少異なるが、おおかた彼らがやろうとしていることはMISが実現したかったこと。我々はお金がなくて失敗したが、彼らにはそれが十分あるから。
そうは考えていない。確かに今は当時と比べると無線LAN機能を持った機器がたくさんあり環境は断然良くなった。ただし、今も昔もインフラとハードウエアは鶏と卵の関係。我々は自分たちで市場を作る意気込みでやっていた。
ただ、今思えば300個所設置したアクセスポイント(AP)をもっと狭い場所に集中させればよかったかもしれない。スポット(点)展開とエリア(面)展開の違いを明確に見せることができたと思うと、それだけは残念だ。
今、公衆無線LANサービスは利用者にお金を払うという意識を持たせた点で成功している。あとは、ユーザー層の拡大だろう。カギを握るのはやはりハード。女子高生は絶対にノートパソコンは持ち歩かない。ほかのハードに無線LAN機能が搭載されれば、面展開を目指すライブドアにも勝機はある。
台湾で無線LANの実験
台湾最大の都市、台北市の東南に位置する信義エリア。ここは、ショッピングやビジネスで賑わいをみせる何かと話題になるエリアだ。このエリアのカフェでは、ノートパソコンを開く人が割と多い。プロバイダーやカフェが独自で設置する無線LANのAPが密集しているためだ。
台湾の政府は約2年前、公衆無線LANへの取組みを熱心に始めた。25ある県や市といった自治体では、中央政府(経済部、内政部)や各自治体が主導する、公衆無線LANサービスや地域の特色をテーマに掲げた実験プロジェクトが進められている。
現在遂行中のプロジェクトのなかでも、とりわけ注目を集めているのが台北市政府主導のプロジェクト「網路新都」。台北市内に網をかけるように無線LANアクセスポイント約1万台を設置し、市内の約9割をカバーするというもの。
実際のサービスは民間事業者の「安源資訊」が請け負い、「WIFLY」(https://www.wifly.com.tw/)という名称で展開している。まさに官民1体となって台北市を公衆無線LAN都市に塗り替えようとしているのだ。
台北市内の主要な交差点では、信号機の上にWIFLYのAPが設置されている。ただし、稼働しているのは、まだごく一部だという。
WIFLYのサービス提供開始直後から試験サービスを利用している台北在住の会社員・西村江文さんに話を聞いてみると「WIFLYはユーザーにとっては不便でまだ整備不足」とのこと。
APが市内に多数設置されているとはいえ、地下鉄の駅でWIFLYに接続したまま電車に乗って移動すると途中で接続が切れてしまう。「電車での移動中に切れるのでは意味がない」と、手厳しい。面でカバーする以上、ハンドオーバーは当然だという見解だ。
ただし、西村さんはいわゆるヘビーユーザー。実は台湾に住む人にとってWIFLYのようなプロジェクトの認知度は低い。仮に知っていたとしても、メリットが分からずあまり使わないという人も多い。
公衆無線LANの面展開を標榜する台湾では、当然IP電話ソフト「Skype」の注目度が高い。台北在住の会社役員・富田恭敏さんもSkypeユーザーの1人だ。「今後、音声のやり取りを意識した無線LANインフラ整備を政府が推進させるなら、既に一定の市民権を得ているSkypeは台湾で爆発的なヒットになるのでは」と大きな期待を寄せる。
一方、日系メーカー勤務の会社員、呂婉さんも業務や私生活でSkypeを活用している1人だが、こちらは全く逆の感想を漏らす。「政府がキャリアの首を絞めることになるSkypeの普及を後押しすることはないだろう」という。
こうしたなか、台湾で現在、利用者を増やしているのが、携帯電話に無線LAN機能を内蔵したスマートフォン。現在人気を集めている端末は「Dopod585(多普達585)」。
価格は1万3500台湾ドル(日本円で約4万6000円)と高価だが、「女性でも使いたくなるデザインということもあって、出荷が徐々に伸びている」(携帯電話ショップ店員)という。
今回、取材していて最も感じたのは行政が牽引する台湾の公衆無線LANインフラだが、ユーザー不在という事態を引き起こしかねないということ。活用するためのアプリケーションやハードウエアの開発を早急に進めていく必要がありそうだ。
12年ぶりの新しい携帯電話会社イーアクセス
携帯電話の世界で今、1番ホットな話題といえば、12年ぶりに誕生する新しい携帯電話会社だろう。ADSLサービスですっかりおなじみのソフトバンクグループ、イー・アクセスグループ、そしてベンチャー企業のアイピーモバイルの3社である。
年内にも免許交付
3社は9月末、携帯電話の免許を総務省に申請し、事業参入へ名乗りを上げた。早ければ年内にも免許が各社に交付される見込みだ。
新規参入組を応援するように、「番号ポータビリティ」と呼ぶ制度が2006年に導入される。電話番号を変えずに別の携帯電話会社に契約し直せる制度だ。例えばNTTドコモのユーザーは、それまで使っていた電話番号をKDDIのauに乗り換えた後も使い続けられるようになる。
新しい携帯電話会社の誕生と番号ポータビリティの導入で、我々は様々な“果実”を享受できそう。競争激化で、料金が下がる可能性もある。
我々パソコンユーザーにとって最もおいしい果実は、通信速度の劇的な向上だ。その速度は、1M~5Mbps。現在パソコンにつなげて使うデータ通信カードの代表格、ウィルコム(旧DDIポケット)の「AIR-EDGE」は、最大32k~256kbps。携帯電話の場合は、最大384kbps(NTTドコモとボーダフォンの場合)止まりである。
現在よりワンランク上の速度になることで、ノートパソコンでのインターネット接続はもちろん、携帯電話単体で映像や音楽を駆使した携帯電話用のコンテンツを瞬時にダウンロードできる。NTTドコモ、KDDI、ボーダフォンは、既に高速化に向けたフィールド実験をスタート。新規参入組の3社も、サービス開始時にはメガクラス級にする計画だ。
各社は、さらに6M~20Mbpsへと速度を上げていく方針。キロからメガへ。家庭に普及したADSL並みのスピードを、手のひらに乗る携帯電話でも使える時代がもうすぐやってくる。
ソフトバンクグループはHSDPA規格
ここからは、携帯電話会社が具体的にどのような高速化の計画を立てているのか、順に見ていくことにしよう。我々の携帯ライフがどう変わるのか、その具体像を紹介していく。
最初は新規参入組の3社。そのうちの1社であるBBモバイルは、ソフトバンクグループの携帯電話会社である。同社は、NTTドコモがFOMAで採用するW-CDMA方式を拡張した、HSDPA規格を候補の1つとしている。
2006年中にデータ通信サービスを試行、音声を含めた本サービスの開始は、翌2007年になる。
BBモバイルのサービスは、音声やメールなどが定額で使え、データ通信が高速なことが特徴になりそう。加えて、無線LANにも対応したデュアルモード端末を提供する可能性がある。
BBモバイルは7月、「Yahoo! BB ADSL」につながった無線LAN環境と携帯電話間をハンドオーバーさせる実験に成功している。ハンドオーバーとは、電波を受信する基地局が切り替わっても、通話や通信が途切れずに継続すること。実験は、通話中または動画をダウンロード再生中に、経路を携帯電話から無線LANに切り替えた。
ハンドオーバーにより、帰宅途中に着信した通話を、自宅に入ったとたん、無線LAN経由に切り替えられる。自宅やホットスポットなら、安定かつ高音質な通話が期待できるわけだ。デュアルモード端末なので、1台でIP電話の番号と携帯電話の番号を扱えるのもポイント。自宅ではIP電話機として、外に持ち運べば携帯電話として使えるので、NTTの電話サービスが必要なくなる。(竹内秀樹)
イー・モバイルもHSDPA
次が、イー・アクセス傘下のイー・アクセス。同グループで携帯電話サービスを提供するのが、イー・モバイルである。利用する方式はHSDPA、2007年3月までにはデータ通信サービスをスタート。その1年後までに音声サービスを始める考えだ。
TBSと動画配信
イー・モバイルならでは特徴が、独自コンテンツの提供である。出資元の1社であるTBS(東京放送)と共同で、コンテンツを企画し、制作する。高速性を生かした動画配信や、テレビ番組に携帯経由で直接参加できる番組連動型サービスなどのアイデアが考えられている。
イー・アクセスは、端末サンプルとしてキーボードが付いたPDAタイプや、携帯音楽プレーヤータイプを公開している。前者はゲーム機能を内蔵し、自宅や会社のメールを送受信したりWebアクセスが可能。
後者は、音楽をダウンロードして再生する機能を備える。以上を踏まえると、単に通話や通信にとどまらない、動画や音楽を楽しむ工夫を凝らした端末が提供される可能性が高い。
3社目の新規参入組がアイピーモバイルである。同社は、ほかの2社と違ってTD-CDMAと呼ぶ方式を採用する。当面は2006年10月に開始するデータ通信サービスを主軸に据える。他社より最大通信速度が5.2Mbps(22.1Mbpsへアップグレード予定)と速いことがウリだ。フィールド試験では、実効速度1.8Mbpsで通信できたという。
アイピーモバイルは月額料金の目安も公表している。使い放題で月額2500~5000円。現在ウィルコムが提供する32kbpsの定額メニュー「つなぎ放題[1x]」は、月額6090円。メガになっても料金はほぼ据え置きなのは、ありがたい。